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英語の「アクセント」の考え方・基本ルール・効率的な身に付け方

英語はリズムやアクセントを重視する言語です。発音はもちろん大切ですが、アクセントにもしっかり意識を向けておきましょう。

アクセントのない英語は単調で平板になり、聞き取りにくさの要因になります。アクセントが適切に使えると聞き取りやすさが増します。発音に微妙さがあってもアクセントが正確ならちゃんと伝わる、ということだってあり得ます。

英語の発音の種類・特徴・正しい発音の方法【総まとめ】

目次

1 英語におけるアクセントとは2 英単語レベルのアクセント位置の法則3 文章レベルで単語にアクセントを置く要領英語におけるアクセントとは

英語におけるアクセント(accent)とは、一言でいえば、単語の特定の音節を他の音節よりも強調して発音することです。

単語のアクセントは音節(シラブル)単位で扱える

単語のアクセントについて学ぶ際には「音節」要素が欠かせません。音節はシラブル(syllable)とも呼ばれます。

音節は、母音を中心とした音のまとまりの単位です。音節は母音ごとに分けられ、1音節につき母音が1つ含まれます。

例えば、permit は per・mit の2音節からなる語、important は im・por・tant の3音節からなる語として解釈されます。spring は1音節です。

単語のアクセントは英語辞書で確認できる

個々の単語のアクセントは、英語辞書に発音と共に記載されています。発音と共に確認して把握しましょう。

アクセントの位置を示す記号はアクセント記号(accent mark)と呼ばれます。おおむね 「 ˈ 」のような形の記号(ダイアクリティカルマーク)が用いられます。

動詞 permit は発音とアクセントが /pərˈmit/ のように表記されます。これはアクセントの位置を per・mit のように後方の音節に置くことを示しています。

permit は名詞の用法では /ˈpərmɪt/ のように表記されます。このときアクセント位置は per・mit のように前方の音節にあります。

important の場合、発音とアクセントは /ɪmˈpɔrtnt/ のように表記されます。この場合、im・por・tant のように真ん中にアクセントがあります。

辞書によって微妙に表記のルールが違う場合もあり得ます。手持ちの辞書の凡例などを念のため確認しておきましょう。

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単語のアクセントは語形でだいたい察しがつく

単語に特定の接頭辞や接尾辞がついている場合、アクセントの位置はほぼ特定できます。一通りのルールを把握してしまえば、単語レベルのアクセントはかなりの部分までカバーできてしまえるでしょう。

主なパターンは後述します。

文章レベルのアクセントは多分に話者次第

文章表現においてどの語を強調するか、という意味で「アクセント」の語が用いられることもあります(それが言語学的に正しい言い方かどうかは、いったん保留にします)。

文章中で単語に置くアクセントは、単語の中で音節に置くアクセントほどしっかりしたルールはありません。おおむね「話者が強調したい箇所を特に強く述べる」くらいの把握でも十分です。

とはいえ、どういう種類の語(というか情報)にアクセントを置くかという基本指針はあります。この指針を踏まえておくと自然な英語に近づくでしょう。

アクセントは日本語にもある(が毛色が異なる)

日本語にもアクセントはあります。ただし英語のアクセントとは表現方法が異なります。

英語のアクセントは発音の勢いの強弱で表現されます。そして日本語のアクセントは音の高低で表現されます。それぞれ「強弱アクセント」と「高低アクセント」に区分されます。

日本語は同音異義語が非常に多い、にもかかわらず話し言葉でも「クモ(雲)とクモ(蜘蛛)」あるいは「ハシ(橋)とハシ(箸)」のような語が明瞭に言い分けられる、これは高低アクセントが活用できているからです。

高低ではなく強弱

英語を話す際には音の高低ではなく発声の強弱を駆使して表現するべし。これを意識するだけでも、英語的な話し方の要領が身につけやすくなりそうです。

高低ではなく強弱。これは留意に値する大事なことです。

「カタコトの日本語を話す欧米人」のステレオタイプなイメージにありがちな「わたーし、ニホーンゴ、わーっかりませ~ん」というような大胆な声の強弱、あれを我が物にするくらいの心意気で臨みましょう。

英単語レベルのアクセント位置の法則

音節がひとつしかない単語の場合、選択肢はありません。当の音節にアクセントが置かれることになります。

2つ以上の音節からなる語は、どの音節にアクセントが置かれるか判断する必要があります。接頭辞や接尾辞を含む構成の単語の場合、だいたいアクセントの位置が決まっており、判断の手がかりになります。

音節が1つしかない単語

1音節しかない語はアクセントをおける箇所が1つしかなく、必然的にアクセント位置が決まります。

mind /mάɪnd/cat /kˈæt/catch /kˈætʃ/1音節の単語を語幹とする名詞や副詞

1音節の単語に接頭辞や接尾辞が付く形で派生した名詞や副詞は、たいてい、派生元の語と同じ位置にアクセントが置かれます。

mind(mind)remind(re・mind)reminder(re・mind・er)art(art)artist(art・ist)artisan(ar・ti・san)friend(friend)friendly(friend・ly)break(break)breakable(break・a・ble)paint(paint)painter(paint・er)come(come)become(be・come)

ただ、一見この条件に該当すると思われる語でも、接尾辞にアクセントを置くという法則が先行する場合があるので、注意が必要です。

名詞と動詞と両方の用法を持つ単語

同じ形で名詞の用法と動詞の用法がある単語は、アクセントの位置によって品詞が区別されます。

一般的には、名詞は前方にアクセントが置かれ、動詞は後方にアクセントが置かれます。このルールは「名前動後」と呼ばれることがあります。

名詞 insult(in・sult)動詞 insult(in・sult)名詞 record(re・cord)動詞 record(re・cord)名詞 conduct(con・duct)動詞 conduct(con・duct)名詞 conflict(con・flict)動詞 conflict(con・flict)名詞 digest(di・gest)動詞 digest(di・gest)名詞 attribute(at・trib・ute)動詞 attribute(at・trib・ute)名詞2語からなる合成語

book+store で bookstore(本屋)というように、名詞をつなげて1語になったような合成語の多くは、たいてい最初にアクセントが置かれます。

bookstore(book・store)bookshelf(book・shelf)toothbrush(tooth・brush)toothpick(tooth・pick)notebook(note・book)football(foot・ball)特定種類の接尾辞は接尾辞にアクセントを置く

ある種の接尾辞は、アクセントの位置も接尾辞に置かれます。

微妙に発音の似た接尾辞があり、違いを際立たせる必要があると推察できる場合、あるいは、語幹の意味よりも接尾辞の示す意味の方が文意に強く影響すると言えそうなパターンが多く見られます。

一見このパターンと思われても該当しない例もあるので、あくまでも傾向・目安としての把握に留めておきましょう。

-eeemployee(em・ploy・ee)invitee (in・vi・tee)

-ee は「被-行為者」を意味する接尾辞です。

-teenseventeen(sev・en・teen)nineteen(nine・teen)

-teen は13~19までの数詞にのみ用いられる特殊な語尾です。

-eerengineer(en・gi・neer)volunteer(vol・un・teer)

-eer は「関係者」という意味を付与する接尾辞です。

-everforever(for・ev・er)however(how・ev・er)whichever(which・ev・er)

ever 単独でも /évə/ と ev 部分にアクセントが置かれます。ever 自体が強調表現なので、アクセントが置かれるのも自然なのかも。

-eseChinese(Chi・nese)Japanese(Jap・a・nese)Portuguese(Por・tu・guese)Vietnamese(Vi・et・nam・ese)

国名・地名に接尾辞 -ese を加えて「~人」という意味で用いられる場合、-ese 部分にアクセントが置かれます。そして、単複同形になります。

英語の「単数形と複数形の区別がない可算名詞」(単複同形名詞)

-selfyourself(your・self)myself(my・self)

themselves も同様(them・selves)です。

-esquepicturesque(pic・tur・esque)grotesque(gro・tesque)Romanesque(Ro・man・esque)

-esque は「~様式」「~風」といった意味の接尾辞。

-ettesilhouette(sil・hou・ette)cigarette(cig・a・rette)leatherette(leath・er・ette)

-ette は仏語の女性名詞形に由来し、「女性」「小さいもの」あるいは「模造品」という意味を加える接尾辞です。

特定種類の接尾辞は接尾辞の直前にアクセントを置く

接尾辞にはアクセントが置かれず、その直前にアクセントが来るタイプの接尾辞つき表現もあります。

おおよその傾向として、語尾そのものは語気を強めなくても明瞭に聞き分けられる、語尾よりも語根の方が重要、という風にも把握できそうです。

-tionstation(sta・tion)examination(ex・am・i・na・tion)expectation(ex・pec・ta・tion)prostitution(pros・ti・tu・tion)-sionerosion(e・ro・sion)decision(de・ci・sion)occasion(oc・ca・sion)-icautomatic(au・to・mat・ic)plastic(plas・tic)academic(ac・a・dem・ic)-etysociety(so・ci・e・ty)anxiety(anx・i・e・ty)-ityvariety(va・ri・e・ty)authority(au・thor・ity)-graphybiography(bi・og・ra・phy)bibliography(bib・li・og・ra・phy)-logybiology(bi・ol・o・gy)analogy(a・nal・ogy)-enceexperience(ex・pe・ri・ence)obedience(o・be・di・ence)

-ence は -ent が語尾の形容詞表現を名詞化する接尾辞表現。

-ialofficial(of・fi・cial)judicial(ju・di・cial)martial(mar・tial)essential(es・sen・tial)-ual

intellectual(in・tel・lec・tu・al)individual(in・di・vid・u・al)

-ious

judicious(ju・di・cious)conscious(con・scious)

特定種類の接頭辞は接頭辞にアクセントを置く

接頭辞を含む語も、接頭辞の直後にアクセントを置く場合と、接頭辞そのものにアクセントを置く場合とに分かれます。

何がどういう条件になると接頭辞にアクセントが来るのか・来ないのか?という法則性は、そうそう不用意に断定できるものでもありませんが、パターン例を見ていると大まかな要領は掴めてきそうな気もします。

たとえば、頭辞にアクセントが置かれる表現は、nobody、everybody、somebody のように、接頭辞次第で意味が変わる語が多い傾向があるようにも思われます。

no-nobody(no・body)nowhere(no・where)any-anybody(any・body)anything(any・thing)some-somebody(some・body)something(some・thing)every-everything(every・thing)everybody(every・body)by-bypath(by・path)byproduct(by・product)pan-pandemic(pan・demic)pancake(pan・cake)para-paranoid(para・noid)parasite(para・site)特定種類の接頭辞は接頭辞の直後にアクセントを置く

接頭辞ではなく接頭辞の直後にアクセントが置かれる語の多くは、語気を強めなくてもちゃんと接頭辞の部分が聞こえる、あるいは、語根を共有する接頭辞つき表現がそう多くはないので誤解を招きにくい、といった傾向がありそうです。

de-decay(de・cay)demolish(de・mol・ish)dis-discover(des・cover)distract(dis・tract)pre-presume(pre・sume)prepare(pre・pare)un-unpack(un・pack)untie(un・tie)文章レベルで単語にアクセントを置く要領

文章中におけるアクセントは、単語中の(音節単位の)アクセント位置のような言語学的なルールはありません。

文章全体の強弱は必須ではありません。単語レベルのアクセントが上手く表現できれば、文意は十分に伝わります。

文レベルのアクセントづかいは話者(話し手)の趣旨・意図によります。

とはいえ、強調して表現される部分・強調されない部分という一般的な傾向はあります。これを踏まえておくことは自然な表現の手がかりになるでしょう。

最も重要な情報を強調する(アクセントを置く)

文章(センテンス)中で最も重要な情報は強調すべき部分であり、自ずとアクセントが置かれる部分になります。

重要か否かの判断は、もっぱら話者の主観に依拠します。

例題:「この山に狐がいるって知ってた?」

試しにこんな文例を取り上げてみましょう。

Did you know that some foxes lived on this mountain. この山に狐がいるって知ってた? – Tanaka Corpus

Did you know that some foxes lived on this mountain.

文頭の did にアクセントを置くと、過去時制が強調されることになります。山について少しでも知っていたか否かが強調された表現になります。

Did you know that some foxes lived on this mountain.

you を強調して表現した場合、余人はともかく「君は」知っていたか?と強調する言い方になります。

Did you know that some foxes lived on this mountain.

know を強調して述べると、that 以下の出来事について「はっきりと知っていたか(認識していたか)」という点を問いただしているニュアンスが前面に出てきます。

Did you know that some foxes lived on this mountain.

some foxes 部分を強調して述べると、山に何かしら獣がいたであろうことはさておき、それがキツネであったと知っていたかどうかを尋ねるニュアンスが中心となります。

Did you know that some foxes lived on this mountain.

lived を強調すると、キツネが「生息している(いた)」という事実に焦点が当たります。

Did you know that some foxes lived on this mountain.

mountain を強調すると、「他でもないこの山に」キツネが生息していることを知っていたかどうかという部分が強調されます。

新規の情報はアクセントを置きやすい

会話の中で初めて言及・共有される情報は、強調する価値のある部分です。

新たな情報は特に意識しなくても強調されるものなので、半ば言わずもがなの部類ではあります。

Have you read Harry Potter series that I lent you last month?僕が先月貸したハリーポッターシリーズ読んだ?I have read only half the book.まだ半分しか読んでないや。内容語はアクセントを置く、機能語は置かれない

文章の構成要素は「内容語」と「機能語」という区分で分けられることがあります。

内容語にはアクセントを置き、機能語にはアクセントが置かれません。

内容語とは

内容語とは、名詞、形容詞、副詞、一般動詞などの、文法的な機能はほとんどもたず、語彙的な意味を表す語のことです。

名詞(train、bus stop、supermarket)一般動詞(go、speak、work、sit)形容詞(cute、friendly、kind)副詞(quickly、happily、badly)機能語とは

他方、冠詞や代名詞、be動詞などの語彙的な意味をもたず、文法的な機能を主に果たす語は機能語といいます。

冠詞(a、an、the)人称代名詞(she、he、they)be動詞(am、is、are、was、were)前置詞(in、at、of、with、on)接続詞(and、but、or、so)助動詞(will、can、should、may)

機能語は、聞き取れなかったとしても、意味を把握する上ではそこまで大きな問題になりません。その意味でことさらに強調する必要性がありません。

他方、内容語はちゃんと聞き取らないと相手の意図していることが分からない性質のものです。

そういうわけで、文章全体におけるアクセントは内容語に偏り、機能語は補助的な役割で控えめに表現されます。

ただし、これはあくまでも基本的な傾向です。常識的な見解とは異なる状況や意外な事態を表現する場合には機能語を思いっきり強調して述べる場合もあります。

対比して述べる表現にはアクセントを置く

対比の表現はそれぞれ対比する項目を強調して表現します。

I have never SEEN nor HEARD about that before.私はそれを見たことも聞いたこともない。 – Weblio Email例文集do you prefer ROSES or LILIES?バラとユリどちらが好きですか。

新情報にアクセントを置く考え方と近い、というよりも同種の感覚と捉えるべきでしょう。対比するということが基本的に新しい情報の提示のしかたですので。

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